ホームページで売上を上げたい。でも、何から始めて、どこに頼めばいいのか
ホームページから売上が生まれない原因の多くは、デザインや制作会社の実力ではありません。発注する前に「誰に・何を・何をゴールに」売るのかが決まっていないことです。この記事では、業者選びの前にやるべきことと、外注先の見極め方を、公的支援機関で年間多数の経営相談に向き合ってきた立場から、営業抜きで整理します。
「ホームページを作れば売上が上がる」が成り立たない理由
ホームページを作ることは「手段」であって、「目的」ではありません。皆さんの目的は「売上を上げること」「問合せにつなげること」ではありませんか?
しかしなぜか、作ることが目的となってご相談に来られるケースが多いです。例えば「既存の販路でこれ以上売上が上がらない → Webに進出すれば良い(販路を広げる)」という考え方です。これ自体は間違いではありません。しかし「ホームページを作れば売れる」という考え方は失敗の元。作る前にやることがあります。
それは「誰に・何を・何をゴールに」売るのかという商売の基本です。「誰に」を1つ深堀りするだけでも戦略は大きく変わっていきます。戦略が変われば表現する写真や言葉も変わり、商品やサービスの見せ方も伝え方も変わっていくのです。
よくある3つの誤解
ご相談で多いのが、「見た目を変えれば売れるのではないか」「SEO対策をすれば売れるのではないか」「SNSと連携すれば売れるのではないか」という3つです。ご相談のほとんどが、この3つのどれかを想定されています。
はっきり言って、違います。これは断言いたします。
車もスマートフォンも、完成品の裏には必ず「設計」があります。ホームページも同じです。ホームページは最終的にアウトプットされた成果物であって、この「設計」を飛ばして売上につながるホームページはできません。
もしこれを読んでいる方に心当たりがあるようでしたら、これから記載する内容をぜひ念頭に置いて、ホームページを作る・依頼する前に準備してほしいと思います。これが「設計」です。
発注する前に、自社で決めておく3つのこと
①誰に売るのか
「幅広い層に届けたい」は、誰にも届かないのと同じです。
よく「誰に売るのですか?」と質問すると返ってくる答えが「年齢は問いません。幅広い層に届けたい」というものです。これが最も困ります。実際に幅広い年齢層に受け入れられる商品・サービスであっても、伝え方は相手によって変える必要があります。
例えば赤いTシャツを売るとしましょう。そのTシャツを売る相手が小学生の男児だったらなんと言いますか?あるいは高齢の女性だったらなんと言いますか?
人は誰でも普段から、相手が変われば伝え方を変えています。ところがホームページやSNSといったインターネット越しになると相手の姿が見えなくなり、誰にも響かないメッセージになってしまいがちです。小学生の男児に「綿100%で肌にいいんだよ」と言ってもピンとこないですよね。「憧れのヒーローも着てるよ!」と言ったほうがピンとくるのではないでしょうか。
また、既存顧客のなかで「この人がもっといたら良いのにな」という理想的なお客様はいらっしゃいますか?あるいは「既存顧客ではなく新しい層に伝えていきたい」と思われますか?まずはここからです。
※このステップを書き込めるペルソナ設計シートを、記事末尾で無料配布しています。
②何を売るのか
インターネットは、「たった1つの商品・サービス」を売ることにとても力を発揮します。
売りたい商品・サービスは1つですか?それともたくさんありますか?例えばみなさんはネット上で漫画やゲーム、洋服や化粧品、有料セミナーなどを購入したことはありますか?その時のことを思い出してみてください。「たった一つの商品を、厳選した誰かに届けたい」というメッセージを感じたことがありませんか?
自社商品の全てを伝えたい気持ちはとても良く分かります。しかし、何か1つに絞ることがネット上では重要です。商品が複数あるのであれば、順番に設計していきましょう。まずは1つに絞り、その反応が良ければ次の商品に着手する。いっぺんにやると「誰に」が幅広くなりすぎて、届かないメッセージになってしまいます。
③何をゴールにするのか
ゴールが変われば、設計も、ゴールへ向かう道順も変わります。
ホームページは「手段」です。目的はなんですか?「問合せ件数を増やしたい」でしょうか?それとも「受注額を増やす」ことでしょうか?ゴールが変わると設計も変わり、ゴールへと向かう道順も増えたり減ったりします。
特に外注する場合は、ここを制作会社と明確に共有しておいてください。決めないままだと、「ホームページを作ったら売れると思っていたのに!」というお客様と、「うちはホームページを作ることがゴールです」という制作会社との間で、認識のズレが発生してしまいます。誠意のある制作会社であれば、「それはできませんが、ここまではできます」とはっきり答えが返ってくるはずです。
決めないまま見積もりを取ると、比較できなくなる
この3つを決めないまま制作会社に見積もりを取ると、制作会社ごとにゴールなどの想定が違ってくるため、比較のしようがありません。そもそも、この3つを聞かないまま見積もりが出てくること自体が、本来はおかしいのです。この3つが明確な状態で複数社に相見積もりを取れば、はじめて比較が可能になります。
外注先の選び方
制作会社には、タイプがある
制作会社は、デザイナー中心・システムエンジニア中心・マーケッター中心・広告代理店の4タイプに大きく分かれます。同じ「ホームページ制作」でも、強みがまったく違います。
依頼するのは、どんなタイプの制作会社が良いですか?売上を上げるところまで伴走してくれるところでしょうか。素敵なデザインで、見た人が一瞬でファンになるようなクリエイティブを出してくれるところでしょうか。リサーチに強く、提案もしっかりしてくれるところでしょうか。制作会社の実績と見積もりを見ると、どのタイプか見えてきます。「誰に・何を・何をゴールに」が決まっていれば、選ぶべきタイプも自然と絞られます。
相見積もりの金額差は、どこから生まれるのか
金額差の多くは、「関わる人数」と「守備範囲の広さ」から生まれます。
よく聞かれるのが「金額が妥当なのかわからない」というお話です。先ほど記述したとおり、「誰に・何を・何をゴールに」が決まっていないまま見積もりを取ると、想定の違いから差が出てしまいます。反対に、決まっていて依頼したのに差が出た場合は、遠慮せずに理由を聞いたほうが良いです。
私の見解では、高いところは人員が揃っており、属人化しておらず、保守管理やサーバー周り、セキュリティに関する専門家がいることが多いです。制作会社によっては法務部があり、法律上問題のない表現になっているかまでチェックするところもあります。関わる人数が多い・守備範囲が広いほど、金額は高くなります。
高いのが悪いという考えは間違っています。むしろ、BtoBサービスを提供している会社や、セキュリティ・信頼性を重視するのであれば(最近はこのあたりがとても重要ですね)、しっかりと予算を組むことを推奨します。
安い提案に含まれていないもの
安い見積もりでは、次の6つが「別料金」か「そもそも無い」ことが多いです。
- 保守:公開後のセキュリティ更新やトラブル対応が含まれず、放置されたままになる
- 修正回数:デザイン確認後の修正に上限があり、超えると追加費用
- 原稿:文章は自社で用意する前提。書けずに制作が止まるケースが非常に多い
- 写真:素材写真の使い回しで、自社らしさが出ない
- 権利:サイトの著作権、ドメインやサーバーの名義が制作会社側にあり、乗り換え時に持ち出せない(※このご相談は非常に多い)
- サーバー移管:他社に移る際のデータ引き渡しに応じない、または高額な手数料がかかる(※このご相談は非常に多い)
安い価格でよくあるトラブルが「数年間の縛りがあり、途中解約できない」契約です。しかも「作るだけ」で保守はされず、ゴールも設定されていない、いわゆる「使いまわし」のテンプレートが安いことが多いです。ここまで読まれた方はお分かりだと思いますが、「設計」を飛ばして単純に「作る」だけなら安く早くできます。しかし設計のないホームページやLPは、結果も生まれません。作り直しとなるケースが多いです。
また、基本的には最初に「制作費」があり、その後「運用・保守管理費(月額)」が発生するのが基準です。見積りの段階で、この2つを確認しましょう。
契約前に必ず確認する7項目
以下の7項目に「はい」と答えられれば、契約後のトラブルはかなり防げます。
CHECKLIST
契約前に必ず確認する7項目
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成果の定義は、契約書の言葉で確認したか
問い合わせ件数か、受注額か。「作って終わり」か「成果まで伴走」か
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見積もりの内訳は分かれているか
設計・デザイン・実装・原稿・写真が項目ごとに。「一式」表記は要注意
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含まれていないものを確認したか
原稿執筆、写真撮影、修正回数の上限、公開後の保守。別料金なら金額まで
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権利と名義は、自社のものになるか
サイトの著作権、ドメインとサーバーの契約名義。他社名義だと持ち出せない
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契約期間と解約条件は明記されているか
最低契約期間、中途解約の違約金、解約時のデータ引き渡し
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保守の範囲は具体的か
更新代行の回数、セキュリティ対応、障害時の連絡先と対応時間
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担当者と連絡手段は決まっているか
営業と制作の担当が分かれるか、連絡手段、返答の目安日数
「この会社は避けたほうがいい」と判断できるサイン
インターネットの世界には、正直なところ「本物」と「偽物」が混ざっています。ここでいう「偽物」とは、お客様のために技術を提供しようというのではなく、お客様からお金をもらうことを目的としている制作者のことです。詐欺被害も多く出ています。個人的に「避けたほうがいい」と判断する材料を挙げます。
- 専門用語が多く、わかりづらい
- 見積もりの根拠を聞いても曖昧
- 話していて違和感を感じる(好きになれない)
- 愛想は良いが、目的に対して過剰に「できます!」と言う、あるいは誤魔化す
- 秘密保持契約書や取引基本契約書を交わさない・知らない
- 営業が強い、ゴリ押し(「いつまでに契約しないと損」といったことを言ってくる)
- 自社の取引先をやたら聞いてくる
- ◯年縛りでローン分割がある
- 現地に来てくれない(ローカルビジネスの場合)
- 「悪い口コミを消しますよ」などの話が出る
作ったあと、誰が育てるのか
ここからは、公開後の話です。作る段階の「ホームページ」は、公開した瞬間から育てていく「サイト」に変わります。
自社の言葉は、社内にしかない
外注先はサイトを作れますが、自社の言葉を持っているのは社内の人だけです。
これはとても重要なことです。私たちはWebの専門家であって、皆さんの事業の専門家ではありません。ましてやお客様の会社の言葉や文化、考え方は全てを知らないのです(AIもそうですね)。なので外注先に丸投げするのではなく、しっかりと打ち合わせを重ねて、納得のいくもの、自社らしいものを制作会社と一緒に作りましょう。
そして作った後の「サイトを育てる」、つまりブログなどの情報発信は、お客様自身がやるのが一番です。自社の言葉で発信する。これが最も重要なことです。
更新が止まるサイトに共通すること
更新が止まる原因は、担当者の意欲ではなく、情報発信の「戦略設計」が無いことです。
「そうは言ってもブログやSNSの更新はすぐにネタ切れして続かない」「他の仕事もあるのに時間が確保できない」といった声も多いです。毎回頭を悩ませて記事を書き、画像を加工する、では、私たち専門家でも続きません。ホームページを作ることもそうですが、「戦略設計」がなければ続けることは難しいのです。
※発信の柱を決めるための戦略設計シートを、記事末尾で無料配布しています。
担当者は「詳しい人」ではなく「自社を語れる人」を選ぶ
情報発信の担当者に必要なのは、パソコンやSNSの技術ではなく、自社をお客様に語れることです。
よく「若い人がSNS得意だから」「うちはPCに強い社員がいるから」ということで担当者に抜擢するケースを見ます。しかしその方たちは、自社のことをお客様に語ることができますか?兼任で担当になった社員が「そもそも自社のことをまだそんなに知らない」「これは上司に確認しないと発信していいかどうかわからない」という状態では、発信は続きません。形だけできたとしても、その先にいるお客様に響かない内容になってしまいます。
「自社を語れる人」は誰でしょうか?社長が一番語れるはずですよね。こう言うと「私はそんな時間も技術もない」という社長さんも多いです。ここで朗報。AIに話すだけで、投稿や発信ができる時代です。ぜひ活かしていきましょう。AI時代では、ますます「中身」が重要になります。
とはいえ、社長自身が様々なプラットフォームで発信するには難しいケースがほとんど。であれば、社内の人材を育てることが重要です。人はいきなり育ちません。ぜひ日頃から会社の理念・ミッション・商品サービスの理解を深める取り組みを推進してください。
よくある質問
Q.ホームページ制作の相場はいくらですか
A.一般的な中小企業のコーポレートサイトで、30万円〜300万円程度が目安です。内容や規模によって変動し、大規模なものでは数千万円になることもあります。金額だけでなく、やりたいことを適切に実現できる内容になっているか、過不足はないかを確認してください。
Q.外注先はどうやって探せばいいですか
A.「地域名+ホームページ制作」「地域名+SEO/AIO対策」などで検索するのが基本です。最近ではAIにたずねても良いと思います。ただし1社で決めず、複数社に見積もりを取ることを推奨します。
Q.作ったあと、誰が更新するのですか
A.更新は自社で行うのが基本です。自社のことを最も知っているのは社内の人だからです。AIを効率よく活用するのは良いですが、文章をAIに丸投げで書かせないよう注意してください。
Q.遠方の会社にも依頼できますか
A.できます。オンラインでの打ち合わせや、メール・チャットでのやり取りで、基本的に問題ありません。ただしローカルビジネス(近隣の方向けのビジネスをしている方)は、1度でも現地に来てくれる会社を選びましょう。百聞は一見にしかず、です。
Q. 補助金は使えますか
A. ホームページを作るだけの補助金は終了しています。ただし、プロジェクトの一環としてホームページを用意する必要がある場合、認められる補助金もあります。中小企業診断士や、最寄りのよろず支援拠点(中小企業庁が全国に設置している無料の経営相談所)に相談してください。
それでも迷ったら
「難しい」と感じる方は、a.designでも無料相談を承っています。売り込みはしませんので、お気軽にご相談ください。「費用がかけられず、自分で作りたい」という方は、お近くのよろず支援拠点をご利用ください。
ワークシートを無料で配布しています
この記事でお話しした内容を、実際に手を動かして整理できるワークシートを2種類ご用意しました。ペルソナ設計シートと、情報発信戦略設計シートです。いずれもA4・3ページのPDFで、印刷して書き込めます。
営業のご連絡はいたしません。ダウンロードリンクは、ご入力いただいたメールアドレス宛にお送りします。
まずは、お話を聞かせてください。
内容がまとまっていなくても大丈夫です。今のお悩みだけでも構いません。ご相談・お見積りは無料です。
