福岡県うきは市吉井町白壁通りをお散歩 ~温故知新・MINOU BOOKSで良書と出逢う~
お正月休み、皆さまいかがおすごしだったでしょうか。
私は年末年始にしか出来ない仕事もあり、休みつつも仕事、合間に初詣や散策など、比較的のんびりのお正月休みでした。
さて、福岡県久留米市在住の私ですが、すぐお隣のうきは市にもよく遊びに行きます。うきは市は福岡県の南東部に位置する市で、古く美しい景観とフルーツの産地で知られています。実はこの辺りにはアーティストや作家さんといったクリエイターさんたちが多く移住しています。熊本で言うと、南阿蘇あたりと雰囲気が似ているなと思います。
クリエイターさんたちが惹かれるのは、耳納連山の美しい山なみと、空気や水のきれいさ、のんびりとした時の流れ・・といったところでしょうか。
その中でも重要伝統的建造物群保存地区である白壁通り。素敵なギャラリー、カフェ、パン屋さん、本屋さん、などなど・・散策するにはちょうど良い町があります。気持ちをリフレッシュするために良く行きます。休みの日は自然や美味しいものを満喫したくなりますね。
白壁通り ~温故知新~
白壁通りの中でもお気に入りのお屋敷、居蔵の館。無料で内覧可能です。日本家屋の美しさ、職人の仕事をうっとりと眺めてきました。写真をギャラリーにまとめたので、よろしければ御覧ください。
※写真の無断転載を禁じます
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▼風趣を醸す、重要伝統的建造物群保存地区。年を重ねても変わらぬ、歴史情緒溢れる「白壁の町並み」 - Ukiha love.jp
https://ukihalove.jp/contents/shirakabenomachinami
居蔵の館を拝見する際には、案内をしてくださる方たちがいらっしゃいます。
歴史とともに建物を眺めていると、本当にいろいろなことを考えさせられます。文化・歴史・芸術・・・これらを学び知ること、体験することが私のこれからの仕事にとても活きてくると感じています。
温故知新。まさにその言葉のとおりですね。
MINOU BOOKS ~珠玉の一冊~
白壁通りにある素敵な本屋さん「MINOU BOOKS」。大変人気の本屋さんのようで、お正月も多くの人が訪れていました。ここでどんな本に出逢えるか、わくわくしながら行ってきました。
最近は仕事で農業・芸術に関わることが多いのですが、そんな私にピッタリの本が目に止まりました。
本のタイトル、著者が宮沢賢治であること、装画の美しさ。
すべてが私の胸にズバッと刺さり、即買いしました。パラパラとめくっているとどの言葉もビシバシと響きます。
何故われらの芸術がいま起こらねばならないか
曾つてわれらの師父たちは乏しいながら可成楽しく生きていた
そこには芸術も宗教もあった
いまわれらにはただ労働が
生存があるばかりである
宗教は疲れて近代科学に置換され然も科学は冷たく暗い
芸術はいまわれらを離れ然もわびしく堕落した
いま宗教家芸術家とは真善若くは美を独占し販るものである
われらに購ふべき力もなく
又さるものを必要とせぬ
いまやわれらは新たに正しき道を行き
われらの美をば創らねばならぬ
芸術をもてあの灰色の労働を燃せ
ここにはわれら普段の潔く楽しい創造がある
都人よ 来ってわれらに交れ
世界よ 他意なきわれらを容れよ
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農民芸術概論 宮沢賢治
農民芸術概論綱要『農民芸術の興隆』より引用
土に触れる自らの手と宇宙の胎動が直結する壮大なスケールで描かれた宮沢賢治による至高の芸術論「農民芸術概論綱要」。本書では本論に加え、「農民芸術」の名を冠する他2編を収録。また、「雨ニモマケズ 風ニモマケズ」で知られる通称「雨ニモマケズ手帖」に収められた詩編や、賢治の最晩年、病床に伏しながら書かれたと言われる「疾中」を採録。そして生前未発表の詩作集「詩ノート」より撰集した数編のほか、学生に向けた鼓舞激励のメッセージ「生徒諸君に寄せる」を収めた。計60超の詩編を採録。装画は奄美大島在住の絵本作家、ミロコマチコ。(八燿堂オンラインショップより引用)
私は子どもたちが芸術の道を進んでいるため、また、私自身もキュレーション概論を学んでいる最中なので、アート業界で起きている様々な課題について想いを巡らせながら読んでいますが、この時代からあまり変わっていない課題もあるような気がします。
今こそ、私達一人ひとりが審美眼を鍛えなければいけないような気がしています。いや、時代の流れとともに自然と私たちは審美眼を鍛えざるを得ないと思います。
仕事にどう活かす
インターネットが台頭してきた頃からAIが急速に進化している今も変わらず思っていることなのですが、技術の進化は人間の退化になるとは思っていません。もちろん使い方次第ではそうなってしまうでしょう。
しかし、あくまでもこれらの技術は道具の一つだど考えています。ボールペン等と同じで、私たちが何をどう表現していくのか、と言ったことが最も重要なことだと思います。
道具の使い方に必死になるのではなく、道具を使って何を表現するのか。
処理や計算、作業といったことは道具を使って、私たちはより創造力をはたらかせ、クリエイティブに生きていけるのではないでしょうか。
上記にも引用した宮沢賢治の
いまやわれらは新たに正しき道を行き
われらの美をば創らねばならぬ
芸術をもてあの灰色の労働を燃せ
という言葉は、今の時代にもピッタリだと思います。
私はWebの仕事が専門です。私の仕事もこうありたい、と強く思います。