私は人事に関わる仕事をしていますが、先日とある会社さんで「退職代行サービスを使った退職者が出た」と伺いましたので、興味を持って色々と調べてみました。予想通りになりますが、「辞めたいのに辞めさせてもらえない」「辞めたくても言えない」という環境を作ってしまっている会社に問題の根本があるのであって、こういったサービスが登場するのは、それだけニーズが高いということです。
具体的には何をしてくれるのか
退職代行サービス会社が具体的には何をしてくれるのかというと
- サービスに申し込む
- ラインや電話で気軽に連絡を取り合って、辞めたい理由等を話す
- 料金を支払う(3~5万円が相場)
- 退職届など退職にあたって必要な書類の提出(作成は本人)や返却品を返すなど、本人に代わって全て代行
- 会社と話す必要がある場合(退職理由など)これも代行(交渉事は違法)
- 完了
という流れです。つまり、本人は一度依頼をすれば、会社の方に行くことも話すこともせずに、退職が完了するというわけです。
料金は退職が失敗したら返金
料金支払いは前払いのようですが、退職が失敗したら返金されます。
こうしてみると、いわゆるブラック企業で辞められない人からすると、頼りたくなる気持ちも良くわかります。便利ですよね。
法的に問題はないのか
さあ、ここが一番の問題となる部分ですが、本来依頼者から報酬を得て交渉事をするには「弁護士」となるわけですが、退職代行サービス会社は違法行為とならないのでしょうか?顧問弁護士が居るから大丈夫なのでしょうか?
弁護士の活動範囲は「交渉・仲裁・和解」といった活動になりますが、弁護士以外がこれを行うことは出来ず、もちろん弁護士以外の退職代行サービス会社はこれらをすることができません。となると、会社側が何らかの反論を行ってきた場合、交渉は出来ないのです。
このあたり、以下の記事など詳しく記載されているので比較して読んでみましょう。
「退職代行サービス」が続々生まれる深刻理由
東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/articles/-/250560
上記の記事などを合わせて読むと、「交渉」は出来ないけど「伝達」は出来ると解釈して良さそうですが、私はやはり冒頭に書いた疑問ばかりが残ります。
なぜ?本人が言えない環境にあるのか?
雇用する側はここにきちんと向き合って、問題解決に臨む必要があると思います。経営者の方は人柄がよくても、中間管理職や直接の上司、先輩に逸脱した権限をふるっているものはいないか?人間関係の細かいところまで目が行き届いているのか?
人間、信頼関係が築けていないと、本音を聴くことが出来ないものです。
「社会人なら自己解決は当たり前」「自分のことも解決できない奴はいなくなって構わない」という考えなら、今後ますます加速する人手不足の問題に置いて行かれることになるでしょう。
相手の姿は自分の鏡・・・ここを肝に銘じたいところですね。